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楽器の選び方

状況によるアンプの選択 2

 次に自宅以外の練習スタジオやライヴに持っていくアンプについて考えてみよう。ドラムなどの他の楽器と同時にプレイして十分な音量を得るとなると、出力は少なくとも30Wは欲しいところだ。ゆとりのあるサウンドを望むとなると、やはり100Wはあった方がいいだろう。こうなるとアンプの重量は10kgを越え、徒歩や電車移動でギターや他の機材を携えながら自力で持っていくのは難しい。キャリング・カートに積んで運ぶという手も考えられなくはないが、振動による故障の恐れがある。これは自転車やスクーターでの運搬も同様で、交通安全上もおすすめは出来ない。バンドで演奏するためのアンプは自動車で運搬すると割り切った方がよさそうだ。

 自動車で運搬すると考えると、アンプの選択肢は大きく広がる。まずはスピーカー一体型のコンボ・タイプか、ヘッド部とスピーカー・キャビネットが分かれたセパレート・タイプのスタック・アンプにするか悩むところだ。同じ出力、性能でコンボとスタックの両方が平行して売られているモデルもあるが、その場合、ヘッドとキャビを揃えるよりもコンボの方が安い。一台で完結し手軽なイメージもあり、また小型なキャビネットの独特なハコ鳴りにこだわるギタリストも多い。スタック・タイプのメリットはスピーカー・キャビネットの選択の自由度であり、許容入力やインピーダンスの条件さえマッチすれば搭載スピーカーの数が異なるものや、他ブランドのキャビネットを組み合わせることもできる。

 スピーカーのレイアウトに関しては、例えば同じアンプでスピーカーの本数を1本から2本に増やした場合、単純に音量が2倍になるわけではなく、音のクリアーさ、特に低音域のゆとりとして効果を感じる事が出来る。スピーカー1本では能力のギリギリで歪みがちだったところが、2本に分担されるため、余裕が出るわけだ。また、スピーカーは口径が大きいほど低域の特性が良くなるが、スピーカーの本数を増やすことで実質スピーカー面積も大きくなり、低域を大きく出すことができる。自分にはどのようなスピーカー・レイアウトが必要かは、色々なギタリストのセッティングとそのサウンドや音量をチェックし、最終的には経験を重ねて決めるしかないともいえる。

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状況によるアンプの選択 1

 次に自分のアンプを手に入れるとなった段階で、どういう目的でアンプを使うかということを明確にしたい。とりあえず音が出るというような超小型アンプから、スタジアム・クラスの会場まで対応する大型スタック・アンプまで、ギター・アンプは様々なサイズや出力があり、大が小を兼ねないということが多々ある。どんな状況で使うのが主目的かを決める必要があるだろう。

 自宅で練習用として使うなら、小型のコンボ・タイプのアンプという選択になるだろう。この場合、出力は15Wもあれば、ディストーション・サウンドではうるさいくらいの音量が得られる。クリーン・サウンドをメインで使いたいという場合には、もう少しゆとりがあってもいいかもしれない。自宅用アンプだと小型軽量で持ち運びが簡単なものだと部屋から部屋への移動も楽で便利だが、自宅でもゆとりのあるサウンドや低音の質感を求めるならば少しでもスピーカーの口径の大きなものを選びたい。超小型アンプでは10cm程度の小口径スピーカーを搭載したものもあるが、低音のゆとりなど大口径スピーカーに譲るところはある。

 自宅用アンプと割り切った場合でも、どの程度の機能が必要になるかというのは悩むところだろう。例えばマルチ・エフェクターや単体のアンプ・シミュレーターなどを使って音作りする場合なら、極端な話、ヴォリューム・コントロールさえ装備されていればいいというケースもある。だが、アンプのパワー・スイッチをオンにしてケーブルを接続し、アンプのコントロール・パネルで音作りするだけで気に入ったサウンドでギター・プレイを楽しめるという気軽さがあれば、自宅でもギターに接する機会も増えるだろう。2ヴォリュームで3バンドのEQがあれば、音作りの範囲はかなり広がる。自宅用でもクリーンとディストーション・サウンド用の2つのチャンネルを装備したモデルもあったりするが、曲の展開によってサウンドを使い分ける人ならフット・スイッチでチャンネルを切り替える機能は自宅練習でも役立つだろう。最近はディレイやリヴァーブ、コーラスなどのデジタル・エフェクターが内蔵された自宅用アンプもいくつか登場し、上手く使えば心地よくギター・プレイが楽しめる。また、有名なアンプのサウンドをシミュレートしたアンプ・モデルリングを内蔵した自宅用アンプも注目を浴びている。自宅での使用を考慮したサイズに合わせて音作りがなされているので、意外に迫力のあるリアルなサウンドが楽しめたりするので、サウンドの多様性という面だけでなく、自分の理想に近いサウンドを得るためにもチェックしてみる価値はあるだろう。逆に実際のステージではエフェクターを一切使わず、アンプ直結でブルースなどのエモーショナルなプレイを追求している人ならば、小出力でコントロールはヴォリュームとトーンのみといったシンプルな真空管アンプも選択肢に入るだろう。ピッキングのニュアンスやギター側のヴォリュームやトーンの操作、ピックアップの切り替えで様々な表情を生み出すトレーニングには、それらに忠実にレスポンスよく反応してくれるアンプが必須となるだろう。自宅で真空管アンプのヴォリュームを上げ、心地よいクランチ・サウンドを生み出すとなると、15W程度でもかなりの爆音となるので注意が必要だ。

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真空管とトランジスタ

 次に増幅素子である真空管とトランジスタの特性の違いを簡単に説明しよう。現在では一部のマニアックなオーディオの世界やプロフェッショナルなレコーディング機器を除いて、真空管が増幅素子としてメインで活躍するのはギター・アンプのみといってもいいだろう。これは真空管が信号を増幅する際に生じる歪みの特性がギタリストに好まれるというのが主な理由だ。増幅素子の能力を超えてレベルを上げようとしたときに生じるのが歪みであり、原音再生というオーディオ機器の観点からは嫌われる歪みであるが、エレクトリック・ギターの場合、迫力がある心地よいサウンドとして歓迎された。この歪み方が、真空管の場合、信号の増幅に従って緩やかな曲線を描き、ギター・プレイにシンクロした有機的な変化を見せる。だが、一般的なトランジスタの場合、ある一定のレベルを超えると途端に歪みだし、また真空管の場合、歪みに含まれる倍音は耳に心地よい偶数次倍音が多いが、トランジスタの場合、耳障りで金属的な奇数次倍音が強調されてしまうという特性がある。このためギター・アンプの世界では現在も真空管が主流となっている。ディストーション・サウンドだけでなく、クリーン・サウンドにおいても、音の艶や太さ、音の張り出しといった存在感において真空管アンプにこだわる人も少なくない。だが、トランジスタは機器をコンパクトに設計でき、耐久性やコストパフォーマンスも高いというメリットがあり、特に入門者向けアンプではトランジスタが主流となっている。また、スラッシュ・メタルなどのヘヴィなディストーション・サウンドではリフの切れや重量感ではトランジスタ・アンプが優位な点もあり、プロ用の大型トランジスタ・アンプも注目を浴びている。また、手軽に美しいクリーン・サウンドが得られるところから、ジャズなどの分野ではトランジスタ・アンプが活躍する場面も少なくない。現在、トランジスタを使用して真空管の歪みを生み出す研究開発も進み、かなりの割合のギタリストが歪みサウンドをコンパクト・エフェクターで作っているということを考えても、なにがなんでも真空管アンプにこだわらなくても、ある程度の音作りは可能であると考えた方が合理的かもしれない。

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アンプの構造・概要

 ここでアンプを選ぶ上で知っておく必要がある用語などについて解説しよう。ギター・アンプは大まかに分けて、プリアンプ、パワーアンプ、スピーカーの3つの部分から構成されている。スピーカーで音を鳴らすためにパワーアンプで信号を増幅するわけだが、ある程度の大きさの信号でないと受け付けてくれないため、エレクトリック・ギターのピックアップからの微少な信号をパワーアンプで増幅するために必要なレベルにまで増幅する部分がプリアンプだ。同時にプリアンプはトーン・コントローラーによって音作りをする機能も兼ねている。これら3つの部分の機能が組み合わさってギター・アンプを構成している。プリアンプとパワーアンプの関係は、最近、主流になっているゲインとマスターの2ヴォリューム式のアンプを見ると解りやすいだろう。この方式はプリアンプ部でディストーション・サウンドを作り出し、パワーアンプ部ではなるべく音色を変化させず音量のみを上げるという考え方が基本になっている。これはクリーン・サウンドをメインに使用する人にもメリットがある。マスター・ヴォリュームをフルにしてゲインで音量を調節するという考え方で音作りをすれば、プリ部での歪みを最低限に押さえ、そのアンプで作ることができる最高にクリーンなサウンドを得ることができるというわけだ。

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