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楽器の選び方

ブリッジとトレモロ・ユニット


(写真4)シンクロナイズド・トレモロ・ユニット


(写真5)ボディ・バック側から見た
シンクロナイズド・トレモロ・ユニット

 最後にブリッジとトレモロ・ユニットについて触れよう。ブリッジは弦振動の支点となる重要なポイントであり、エレクトリック・ギターの場合、弦高を調整出来たり、各弦ごとにイントネーションの調整が出来たりとメカニカルな部分でもある。更にエレクトリック・ギターの場合、トレモロ・ユニットが搭載されているモデルもあり、プレイ・スタイルによっては不可欠なケースもある。現在のトレモロ・ユニットの主流はシンクロナイズド・タイプ(写真4)と呼ばれるボディの裏側でブリッジ・ブロックをバネで固定し、バネと弦の張力のバランスを取り、トレモロ・アームで力を加えることでブリッジ・ブロックを揺らし音程を変化させるというものだ(写真5)。大胆に音程を変化させるアーム・ダウンやトリッキーなアーム・アップはエレクトリック・ギターならではのものだが、調整にはちょっとしたコツがいる。特にチューニングの狂いを最小限に抑える目的で開発されたダブル・ロック・タイプのトレモロ・ユニットの場合、初めての時は弦交換さえ戸惑うと思われるので、ある程度の心づもりは必要といえるだろう。

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ネック関連の要素


写真1)ボルト・オン・タイプ


(写真2)セット・ネック・タイプ


(写真3)スルー・ネック・タイプ

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 ジョイント部の構造の違いもサウンドにもたらす影響はあるが、ギターの場合、この部分の形状の違いによるハイ・フレットの演奏性の差も重要になってくる。ジョイント構造は、ネジでネックとボディを接合するボルト・オン(写真1)、接着剤でネックとボディを固着させるセット・ネック(写真2)、ネックがボディ・エンドまで延長されたスルー・ネック(写真3)の3種類がある。スルー・ネックはネックとボディが一体型構造のため、この部分の加工の自由度は高く、滑らかな形状が可能となる。最近では、セット・ネックやボルト・オンでも、“ヒール”と呼ばれる接合部分の段差を加工し、滑らかな演奏性を意識したデザインのモデルもある。ハイ・フレットの演奏性はカッタウェイの形状なども関連し、ジョイント部の構造は楽器としての強度やサウンドにも関わる部分なので、どれがベストとは言い難いが、コストの違いによる価格差も考慮に入れ、バランスの取れたものを選びたい。また、ボルト・オン・ジョイントは、もしネックにトラブルがあった場合、最悪でも交換が簡単で、ネックの仕込み角度を調整可能な場合もあるというメンテナンス性でのメリットの高さも付け加えておこう。

 ギターに使われる木材は違いは、木の素材の風合いを生かした塗装の場合での外見はもちろん、サウンドにも密接に関わってくる。ギターによく使用される材としては、アルダー、アッシュ、マホガニー、メイプルなどがある。アルダー、アッシュはメイプル材のネックと組み合わされ、ボルト・オン・ジョイントで組み上げられる場合が多く、マホガニーはやはりマホガニー材のネックと組み合わせてセット・ネック構造のものに使われる場合が多い。メイプルは最近ではボディに単板で使用されることは多くなく、薄い材をマホガニー材などに張り合わせて使用されることが多い。もちろんサウンドの狙いによって上記とは異なった組み合わせが使用される場合もある。それぞれの材の音質の違いは、産地や個体差などによっても変わってくるが、大まかなキャラクターとしては以下のような傾向がある。アルダーは比較的クセがなくバランスのよいサウンド。アッシュは高域のアタック感が優れ、音抜けの良さや締まった低音が特徴。マホガニーは中音が豊かで丸く暖かなサウンド。メイプルは輪郭のはっきりした明るいサウンドで、マホガニー材にラミネートすることでバランスのよいサウンドを生み出す。ここで挙げた4種類の材以外にも、ギターには様々な木材が使用されるが、代表的な材の音のキャラクターを把握し、それとの比較で捉えると解りやすいだろう。

 指板は演奏性に深く関わる部分であり、ギターを選ぶ際には入念にチェックしたいところだ。指板に使われる材はローズウッド、メイプル、エボニーが代表的だ。ローズウッドは最も一般的に使われる紫がかった深い茶色の材として知られ、指板に使われる際は無塗装がほとんどで、吸水性がよいので汗をかいてもすべりにくいといった利点がある。エボニーはほとんど黒に近い深い色合いで、ローズウッドより堅く、音もシャープで豊かなサスティーンを持つ。メイプルは別の板材を指板としてネックに張り合わせることもあるが、ネック材のメイプルがそのまま指板を兼ねるワンピースのものもあり、指板面も塗装されていることが多い。ローズウッドと比べて立ち上がりが良く、高域特性に優れている。メイプルの場合、塗装されていると汗は吸収してくれないので、演奏性の面では好みの分かれるところだ。

 演奏性という点では、指板の形状も気にしたいポイントだ。ほとんどのエレクトリック・ギターは指板は真っ平らではなく、緩やかなアールを描いている。特にヴィンテージ系のギターでは指板のアールがきついが、この場合、弦高を低く設定しようとした際にチョーキングすると音詰まりが出てしまう。このため、最近ではアールの緩やかな指板のギターも増えている。コードを押さえた際のフィット感などの微妙な演奏時の感触の違いでヴィンテージ・タイプのアールのきつい指板を好むギタリストも多く、この辺りは演奏スタイルによっても好みの分かれるところだ。

 フレットも形状がいくつかあり、ギタリストによって嗜好が分かれる部分だ。細くてある程度の高さがあるタイプは音の立ち上がりが良くシャープな音色で、幅が広いほどフレットの山の形状が滑らかになり、ポジション移動時の指の引っ掛かりが少なく感じる。更にジャンボ・タイプと呼ばれるものはチョーキングやハンマリングがしやすいなどといった特徴があるが、その反面で弦と指板との距離があるため、力強く弦を押さえすぎると音程がシャープするという難点もある。フレットの高さと山の形状のバランスは、演奏者に意識されにくいところでプレイに密接に関わってくるので、出来れば様々なタイプのギターに触れて自分のスタイルにマッチしたものを選びたい。

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ボディの構造と材質

 続いてボディの構造の違いによるサウンドのキャラクターについて考えてみよう。ボディ構造は大別してソリッド、セミアコ、フルアコなどがある。ソリッド・ボディは1枚、もしくは何層かの材を貼り合わせたものを削り出したもので、フルアコはアコースティック・ギターと同様にトップ、バック、サイドの板材を接着した箱状の構造となっている。セミアコはフルアコよりもボディの厚みが薄く、ネックの延長線上のピックアップやブリッジが載る部分の内側にセンター・ブロックが入っており、ソリッドとフルアコの中間的な性格を持っている。

 サウンド的な違いとしては、ソリッド・ボディはアタック感やサスティーンに優れ、これらの特性がロックの大音量で歪ませるスタイルにマッチしている。フルアコはボディ内部で弦の振動が共鳴し、それが弦の振動パターンに影響を与え、ピックアップから出力されるサウンドにも空気感や暖かみ、豊かな膨らみ感として現れる。主にジャズで使用されるが、これは極端な大音量を必要とせず、丸く太いサウンドが必要とされるためだ。フルアコには、大音量時にはフィードバックという問題がつきまとう。これはアンプのスピーカーからの音がギターのトップを振動させ、結果としてトップに載った状態の弦の支持部であるブリッジが振動し、弦に伝わってしまうため、振動伝達のループ状態になってしまい、アンプの音量を絞るか弦が振動しないように押さえるかしないと半永久的に“ボー”と鳴ってしまうものだ。極端に歪ませた大音量時のソリッド・ボディのギターでも起こるこの現象は、フルアコの構造上、特有のものといえる。またフルアコの場合、弦振動のエネルギーがボディを振動させることで失われてしまう関係もあり、豊かなサスティーンは得られにくい。こうした問題点を、共鳴部を持たない板状のボディ/ネックにピックアップを取り付けることで豊かなサスティーンを得ることが出来たスティール・ギターの構造をヒントに開発されたのがソリッド・ボディのギターだ。

 ソリッド・ボディのサウンドにフルアコのような音の膨らみや暖かさを加え、昔からのフルアコのユーザーとソリッド・ボディのギターとの橋渡し的存在として生まれたのがセミアコだ。弦振動やピックアップが載る部分はソリッド構造ながらも、ボディ左右の内部に共鳴室を持つことで弦振動のパターンに変化を与え、アコースティカルな膨らみを生み出そうとしたものだ。この他にトップ、サイド、バックを持った箱状の構造ではないながらも、ボディ内部に中空の共鳴室を持つセミ・ホロウと呼ばれるものもある。これは少し薄目のボディの内側を削り、そこに更に薄目の板材をフタをするような形で貼り付ける構造となっている。ソリッド・ボディのギターとサウンドを聴き比べてみれば、アンプからの音でも箱鳴り感が理解出来るだろう。

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ピックアップについて



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 ギターのサウンドを左右する要素の中で、比較的重要なポイントの一つがピックアップだ。ピックアップが変わるだけで、そのギターの方向性が全く変わってしまうとまではいかないが、あるモデル特有のサウンドを作り上げる構成要素の中でも、そのギターがどんな方向性でデザインされているかは、ピックアップを見れば判断がついたりもする。ピックアップは大別してシングル・コイル(図A)とハムバッキング(図B)に分けられる。ピックアップはマグネットとコイルで構成されており、それらが一組だけのシンプルな構造のものがシングル・コイルで、シングル・コイルを2つ直列に接続したような構造を持つものがハムバッキングと呼ばれている。両者のサウンド的な違いは、音の太さや厚み、出力の差として現れる。シングル・コイルは明るくシャープで歯切れがよく、出力は控えめ。対してハムバッキングはぶ厚く暖かみがあるサウンドで出力は大きめというのが一般的なイメージだ。シングル・コイルはクリーン・サウンドでのカッティングやアルペジオなどに向き、ハムバッキングは歪ませたヘヴィなリフに向いているといえる。もちろん、まったく逆の方向性の音作りで個性的なサウンドを作り出しているギタリストも多いので、一概には言えないが、上記のようなキャラクターの違いは覚えておいた方がいいだろう。

 ところで、ハムバッキングは2つのコイルのうち、片側のコイルの信号を出力することにより、シングル・コイル的なサウンドを出すことも出来る。この場合、構造的な違いがあるので、シングル・コイルとまったく同等のサウンドというわけにはいかないが、似たニュアンスを持つサウンドは作り出すことが出来る。これは“コイル・タップ”と呼ばれ、このような配線に対応出来ない構造のハムバッキングも多いが、可能な機種ではサウンド・バリエーションが広がる。

 シングル・コイル・サイズながら構造やサウンドはハムバッキングに近いものもある。ハムバッキングは2つのコイルの中のマグネットの磁極を反対にすることで外からの電磁波によるノイズのみを打ち消し合わせることで取り去る仕組みになっている。コイルを縦に積み重ねることで同じ効果を得るスタック・ハムバッキングというものもあるが、これはどちらかというとシングル・コイルのサウンド・キャラクターを活かしながら、弱点であるノイズを軽減しようとしたものだ。この他に、幅の狭いコイルを2つシングルコイル・サイズの中に収めたものもあり、これはハムバッキングに近いサウンドが得られるものもある。

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